まとめポイント
- 基本的な表示義務事項は表示が必要
- 密封包装食品のうち冷蔵品は冷蔵である旨の表示が必要
- レトルト品を密封後に加圧殺菌した場合は「気密性容器に密封し、加圧殺菌」などといった表示を行う
はじめに
密封包装食品(レトルト食品)を製造してラベルを作成している方はいませんか?
食品の表示(ラベル)の作成方法は食品表示法で細かく決められていて、わかりにくいところもたくさんあります。
しかも、表示を間違えてしまうと、自主回収をしなければならなくなったりします。
そうなってしまう前に、今回は食品の表示のうちレトルト食品(密封包装食品)のラベル作成に必要な表示項目について解説していきます。
本記事をオススメしたい方
- 密封包装食品を製造している方
- ラベルの作成方法が分からない方
- 食品表示の作り方を知りたい方
密封包装食品のラベルに表示しなければならない項目
基本事項
まずは密封包装食品に限らず加工食品であれば必ず必要になる表示項目を紹介します。
基本的な表示事項は以下の通りです。
- 名称
- 原材料名
- 添加物
- アレルゲン
- 原料原産地名
- 内容量
- 賞味期限
- 保存方法
- 事業者名
- 栄養成分表示
上記の10項目は必ず表示しなければなりません。
厳密には他にも表示しなければ行けない項目があるのですが、
遺伝子組み換えの原材料を使っていたり、特殊な原材料を使用していなければ上でまとめた10項目を抑えておけば大丈夫です。
10項目の中でも表示に誤りがあると特に問題になるのは、『賞味期限』、『添加物』、『アレルゲン』、『保存方法』になります。
この4つは、表示を誤ると特に健康被害に直結しやすい所なので、食品表示法でもより厳しく規定されています。
食品表示法第6条8項
内閣総理大臣は、食品関連事業者等が、アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるものについて食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をし、又は販売をしようとする場合において、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、当該食品関連事業者等に対し、食品の回収その他必要な措置をとるべきことを命じ、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。
消費者庁より
基本的な表示事項については別の記事でも紹介しているので是非そちらを参考にしてください。
追加表示義務のあるもの
密封包装食品の酒類によっては前の項目で紹介した基本的な表示事項とは別に表示しなければならない項目があります。
食品を密封した後、加圧殺菌した場合
容器包装詰加圧加熱殺菌食品(密封包装後に加圧加熱殺菌をしたレトルト食品など)に関しては『殺菌方法:気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌』といったような表示が必須となっています。
これ表示が必要な理由は、常温で長期間保存できるように「食品を機密性のある容器包装に入れて、密封した後に加圧加熱殺菌して微生物を全て死滅させている」という事を事業者は責任を持って示しておかなければならないためです。
というのも基本的に食品を常温で保存する場合は、付着している微生物がどんどん増殖していきます。
それを防ぐ為には、付着している微生物(細菌や大腸菌など)を全てなくす必要があります。
殺菌ができていないとそもそも常温で長期保存できるレトルト食品は販売ができないのでちゃんと殺菌した事を事業者に証明させて販売させるようにしています。
実際レトルト食品の製造には法律で規格基準が定められていて、製造する上での基準等が細かく定められています。
密封包装食品の規格基準
【成分規格】
食品中で発育しうる微生物が陰性であること。
【製造基準】
保存料又は殺菌料として用いられる化学的合成品たる添加物(次亜塩素酸水及び次亜塩素酸ナトリウムを除く)を使用してはならない。
水素イオン指数(pH)が4.6を超え、かつ水分活性が0.94を超える場合は、中心部の温度を120℃で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法で加圧加熱殺菌しなければならない。
缶詰食品又は瓶詰食品以外の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の容器包装の封かんは、熱溶融又は蒔締めにより行わなければならない。
【容器包装の基準】
遮光性を有し、かつ気体透過性のないものであること。ただし、内容物が油脂の変敗による品質の低下の恐れがないものにあってはこの限りでない。
厚生労働省より
冷蔵保存が必要な密封包装食品(レトルト食品)の場合
こちらの商品は冷蔵保存するため、微生物が増殖する環境にそもそもなりにくいため上の項目で紹介したような規格基準もありません。
なので表示上は『保存方法』に冷蔵保存が必要な事を書いておきましょう。
もしここの『保存方法』を常温品として表示する場合は上記のような基準と表示が必須となってくるので注意が必要です。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回はレトルト食品の表示について解説しました。
レトルトにもいろんなタイプのものがあるので、それぞれで表示が必要な項目も多少異なります。
ただ一番注意が必要なところは「常温保存できるレトルト食品」を製造する場合は規格基準と追加の表示項目があるので注意しておきましょう。
また本サイトでは密封包装食品のまとめ記事もあるのでそちらも是非参考にしていただけたらと思います。
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