ポイントまとめ
- 基本的に事業者による任意の表示
- 過度な表示を避けるために消費者庁で『無添加表示』のガイドラインが示された
- ガイドライン上の10パターンを注意して表示を行う必要がある
はじめに
近年健康意識の向上に伴い食品の表示を細かく確認して商品を選ぶ方も多くなってきました。
そんな中で今回は『添加物不使用』や『無添加』の表示についてのガイドラインが令和4年3月30日に消費者庁から示されたので、無添加の表示の意味やルールについて解説していきます。
もし読者が消費者の場合は、いろんな商品に書かれている『無添加』の表示の意味や誤解を避けるために本記事を確認してください!
また事業者の場合はご自身の商品の表示が消費者庁のガイドラインから逸脱していないかを是非この機会の確認してみてください!
本記事をオススメしたい方
- 添加物不使用の商品を積極的に購入している消費者
- 『無添加』の表示をしたい事業者
- 食品表示についてのルールを知りたい消費者や事業者の方
解説
食品添加物はどのように決められている?
本題の解説に入る前に、私たちが普段食べている食品添加物がどのようにして使用して良いと決められているのかを解説します。
食品添加物はまず、食品安全委員会という国家機関で各化合物の添加物についての安全性が評価されます。
その評価を基に厚生労働省で審議をして、その上で食品衛生法に基づいて添加物の使用基準などの細かい取り決めを設定します。
この取り決めの後、食品表示基準で表示方法を規定して、ついに添加物として使用することができます。
無添加表示に関する規定は?
今回の本題である『無添加』や『添加物不使用』の表示のルールについて解説していきます。
実は『無添加』などの表示に関する法整備は特別にはなく、事業者が任意で表示を行えるようになっています!
そのため『無添加』などの表示が本来見るべき表示よりも目立つように表示されていて誤解を招くような商品が存在し問題点が多々あります。
そこで国の調査で、私たち消費者の中には本来見るべき表示を確認せずに『無添加』などの過度な表示のみを見て商品を購入したり、『無添加』などの表示を積極的に購入しているケースが多くあることが判明しました。
今後は『無添加』表示はできる?
国は上記のような状況を回避するため、令和4年3月30日(2022年)に『無添加』表示に関するガイドラインを示しました。
結論としては『無添加』表示としては過度な表現をしない限りは表示できる事となっています。
ただこのガイドラインに沿って事業者は『無添加』表示をするように消費者庁に指摘を受けることとなります。
ガイドラインの内容は?
令和4年3月30日に示されたガイドライン(「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」)では10パターンの無添加表示のルールや注意事項が示されました。
その具体的な10パターンについて解説していきます。
パターン1 「『無添加』表示のみ」の場合
このパターンは、単に『無添加』の表示のみの場合だと、何が添加されていないのかが不明確であるため、『着色料無添加』など明確な表示が必要と示されました。
パターン2 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
食品表示基準において規定されていない用語を用いた場合は、表示禁止事項に該当する可能性があるので、こちらのパターンに該当してしまう場合はすぐにでも改善した方が良いかもしれません。
具体例
『”合成”着色料不使用』や『”天然”甘味料無添加』などといった”合成”、”天然”といった用語の使用
これらの用語は食品表示基準に定められていない用語となるためそもそも使用ができません。
”人工”や”合成”、”化学”、”天然”といった用語は消費者に悪い又は必要以上に良い印象を与え誤認させる恐れがあるため、このような用語を使用しないように示されました。
パターン3 もともと食品添加物の使用が禁止されている食品への表示
このパターンは、法律でもともと添加物の使用が禁止されている食品に対して『無添加』などと表示する事です。
そもそも入っていないはずの添加物が『○○添加物不使用』と表示してしまうと、あたかも他の類似商品より良いものと誤解されるためこのような表示をしないようにとされています。
具体例
もともと清涼飲料水(缶コーヒーやペットボトルジュースなど)にソルビン酸という添加物は使用してはいけないこととなっているのに、
不必要に『ソルビン酸不使用』といった表示をする事が良くないとされています。
パターン4 同じ機能を持つ添加物を使用した食品への表示
このパターンは、「○○無添加」と表示しておきながら、○○と同じ機能や類似効能をもつ添加物を使用しているケースです。
食品添加物が含まれている食品を選択したくない消費者が実際のものより優良又は有利であると誤認してしまう恐れがあるためこのパターンも避けるようにと示されました。
パターン5 同じ機能をもつ原材料を使用した食品への表示
このパターンは、「○○無添加」と表示しながら、○○と同じ機能をもつ原材料を使用しているケースです。
具体例
調味料として広く使用されている「アミノ酸」を原材料として使用し、表示も原材料に表記して、『調味料不使用』と表示してしまうケース
パターン6 健康安全と関連づける表示
このパターンは、『無添加』などの表示を健康や安全と関連づけているケースです。
つまり健康に良いことや、安全であることの理由として『無添加』であることを掲げている表示に対して指摘しています。
このような表示をする事で、添加物を使用していないものが全て健康に良いと誤認させる恐れがあるためこのようなルールができました。
パターン7 健康安全以外と関連づける表示
このパターンは、パターン6と似ており『無添加』の表示をおいしさなどに関連づけて表示するケースです。
具体例
美味しい理由を添加物の不使用であることと表示してしまうケース
パターン6と同様で無添加であることで他の商品より優良であると消費者が誤認する可能性があるため避けることとされています。
パターン8 添加物の使用が予期されていない食品への表示
このパターンは、類型3と少し似ています。
もともと添加物が使用されていないと考えられるような食品に対して『無添加』を表示するケースです。
具体例
ミネラルウォーターに『保存料不使用』と表示してしまうパターン
※ミネラルウォーターには保存料や着色料が添加が禁止されており、添加されていないはずなのに、わざわざ『保存料不使用』などと表示する事で他の同類商品より優良であるような誤認を与える可能性があるため
パターン9 添加物がキャリーオーバーとして使用されている食品への表示
このパターンは、加工助剤やキャリーオーバーとして添加物を食品に使用している場合に添加物不使用として表示してしまうことを意味しています。
具体例
原材料の醤油に保存料が使用されているにもかかわらず、最終自社製品の表示には『保存料不使用』と表示してしまうこと。
パターン10 過度に強調された表示
このパターンは、『無添加』である表示を過度に強調された表示のことを指します。
具体例
着色料など他の添加物は多数使用しているにもかかわらず、保存料のみ使用されていない事をもって食品に対して大きく『保存料不使用』と過度に表示して、その近くに小さく『その他添加物は使用』と表示するようなケース。
※このような表示をしてしまうと、まるで添加物を一切使用していないように誤解を招く恐れがあるため避けるように消費者庁で示されました。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は食品表示のうち添加物の表示ルールについて紹介しました。
添加物の表示でも特に『無添加』の表示に特化した解説のため、事業者によってはまっタック関係なかったりして、どちらかというと消費者向けの内容だったかもしれません。
ただ消費者の方は本記事で過度に『無添加』表示をされた食品を誤って購入しないための手助けになればと思っています。
また事業者の方は本記事で、消費者に誤解の無い表示をできるようになればと思います。
今回の記事に似たものとして遺伝子組み換え品の表示ルールについてまとめた記事もあるので良かったらそちらも確認してみてください!
【解説】分別生産流通管理済みとは?新遺伝子組み換え表示制度を解説 | 肥前正宗 食品・グルメ情報サイト (hizenmasamune.com)
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