食品の検査や検便検査をする際の検査項目にある『大腸菌群』と『大腸菌』の違いが何か分からない方はいませんか?
今回は様々な汚染指標の検査でもある『大腸菌群』と『大腸菌』違いについて解説していきます。
もし食品の検査において『大腸菌群』と『大腸菌』のいずれかの検査が必要と言われた際にどちらが必要なのかを本稿で理解できる手助けになればと思います。
本稿をオススメしたい方
- 食品の検査や衛生面に興味がある方
- 『大腸菌群』と『大腸菌』の違いを知りたい方
ポイントまとめ
- 大腸菌は大腸菌群という種類の1つ
- 大腸菌群は土や糞便等も含めた自然界にある様々な細菌の一種の総称
- 大腸菌は主に人や動物の糞便中にある細菌
解説
大腸菌群とは?
まずはじめに大腸菌群にはどのような細菌が分類されているのかを解説します。
大腸菌群を簡単にまとめると乳糖を分解して酸とガスを産生する細菌です。
この性質に該当する菌には後に紹介する大腸菌やエンテロバクター、サイトロバクターなど様々な種類の細菌があります。
これから分かるように大腸菌群という大きなグループ(属)の中に大腸菌という小さな種類があります。
またこの大腸菌群は一般的に糞便に含まれているような菌を想像しがちですが、
『大腸菌群』に関しては土壌中などの自然にも普通に存在する菌なので必ずしも糞便からのものだとは限らないのです。
なので何か食品や水の検査をした際に大腸菌”群”が陽性と出た場合は、糞便中の大腸菌を含め何かしらの細菌に汚染されている事を示しています。
大腸菌とは?
次に大腸菌についてですが、
大腸菌は前の項目でも紹介したとおり、『大腸菌群』という一つの大きな分類の中の一種になります。
そしてこの大腸菌は人や動物などの糞便に含まれており、病原微生物とも言われます。
これは先の大腸菌群とは大きく違い、この大腸菌が含まれているという事は、糞便からの汚染がとても強く疑われる事を指します。
大腸菌・大腸菌群陽性の場合の考え方
以上の事からもし食品や水の検査をしてその検査項目に『大腸菌群』や『大腸菌』があって尚且つ陽性だった場合は以下のように考えられます。
- 大腸菌群陽性:糞便を含む自然界に生息する様々な細菌からの汚染
- 大腸菌陽性 :糞便からの汚染の可能性大
かつては大腸菌群が陽性の場合は、糞便で汚染されており病原微生物が存在していると見なされていました。
しかし、大腸菌群の中には先に紹介したとおり、糞便とは直接関係ない菌も存在することから、現在は直接的な食中毒リスク指標というよりも一般的な衛生上の汚染指標菌として考えるのが妥当とされています。
加熱した食品で大腸菌群が検出された場合、加熱処理が不十分であったか、加熱後の2次汚染によるものと示されます。
一方サラダなど非加熱の食品の場合は、よく大腸菌群が陽性になることがありますが、その多くは土壌から野菜などの付着した菌が原因である場合があります。
従ってこのような食品の場合は、糞便汚染指標として大腸菌群ではなく、大腸菌を検査する事がオススメされています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は食品などの汚染の指標として検査項目で使用されている『大腸菌群』と『大腸菌』の違いについて解説しました!
専門的な点が多いので難しい内容も多かったと思いますが、少しでも参考になれば幸いです。
参考資料
JIFE(大腸菌群と大腸菌との違い):大腸菌(E.coli)と大腸菌群との違いを教えてください | 日本食品エコロジー研究所JIFE(ジャイフ)
福井県庁Q&A(大腸菌と大腸菌群の違い)
静環境検査センター
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