本記事のポイントまとめ〜飲食店で冷凍食品のテイクアウトはできる?〜
- 飲食店の許可だけで冷凍食品の製造は不可
- 飲食店で冷凍食品を製造する場合は『冷凍食品製造業』や『そうざい製造業(冷凍用の追加基準を満たしたもの)』など製造業の許可が必要
- 飲食店なら『そうざい製造業』の許可で冷凍設備を取得する方がおすすめ
- 施設基準は全国共通だが許可の取得方法は各保健所によって厳しさが若干異なる
はじめに
飲食店経営者で冷凍食品を店頭で販売(テイクアウト)したいと検討している方はいませんか?
飲食店で提供している餃子などの総菜を冷凍にして販売できれば事業拡大のきっかけになるかもしれません。
特に冷凍食品であればインターネットやふるさと納税に出品できるようになったりとメリットがたくさんです。
しかし肝心の冷凍食品の販売に必要な許可については、分からない方も多いのでは無いでしょうか?
今回は冷凍食品の製造販売したい飲食店経営者に向けて保健所での必要な許可をわかりやすく解説していきます。
本記事を読むメリットのある方
- 飲食店経営者の方
- 飲食店経営者で冷凍食品のテイクアウトを検討している方
- 飲食店の事業を拡大したい方
- 食品衛生法の改正についてわかりやすい解説を読みたい方
解説
飲食店で作った冷凍食品のテイクアウトは可能?
それでは今回のテーマ『飲食店で冷凍食品のテイクアウト(販売)は可能か?』について解説していきます。
結論から言うと『飲食店営業許可で冷凍食品の製造販売(テイクアウトを含む)』はできません。
理由は厚生労働省で定められている飲食店で営業できる内容に冷凍食品の製造販売が不可能となる定義が記載されているためです。
その内容については次の項目で紹介しますが、この厚生労働省で定められた定義は全国共通で運用されており、
都道府県で異なることはありません。
一応いくつか全国の主要となる地域の保健所に確認しましたがほとんどが飲食店営業許可に冷凍用の設備を追加しても製造はできないと返答されました。(※ある保健所は回答がすぐにできないと言われそのまま返答がありませんでした、、、)
食品衛生法改正で冷凍食品製造のハードルがかなり下がった
ここで少し解説すると令和3年6月1日から食品衛生法が改正され許可に必要な施設基準も全国共通化となりました。
それまで『食品の冷凍冷蔵業(現在の冷凍食品製造業)』の許可取得には非常に厳しい施設基準をクリアする必要がありましたが、
今回の法改正でかなりハードルが下がりました。
これまで冷凍食品を製造する場合は必ず専用の部屋などが必要でしたがそれが緩和され、部屋でなくても許可の取得が可能となりました。
また、菓子製造業やそうざい製造業の許可でも冷凍専用の設備さえ設けて保健所に確認してもらえれば、それぞれの品目の冷凍品の製造ができるようになりました。
飲食店でなぜ冷凍食品の製造販売(テイクアウト)ができない?
それではなぜ飲食店営業許可で冷凍食品の製造ができないかを解説していきます。
飲食店経営者からしたら、「お店でいつも作っている料理をただ冷凍しているだけじゃん!」と不満を言いたくなる方も多いかもしれません。
確かに、一見いつも作っている料理だからそれをただ冷凍すれば良いのかもしれません。
しかし、日本では食中毒のリスクを抑えるためにいくつか取り決めが法律で決められています。
また飲食店でできる範囲についても法律でしっかり決められており、その中に飲食店は『その場で食べられるものを提供すしたり、客席を設けて料理を提供したりするもの(概約)』として定められています。
なので、冷凍食品はその場ですぐに食べられるものの定義から外れてしまうため飲食店営業許可での取得が不可能となってしまします。
飲食店営業の対象となる「調理」とは、その場で客に飲食させるか、又は、短期間のうちに消費されることを前提として、一応摂食しうる状態に近くなった食品を変形したり他の食品を附加したり、あるいは調味を加えたりなどして飲食に最も適するように食品を加工成形することをいうこと。短期間のうちに消費されることの判断基準としては、調理した者から消費者に直接販売されるか又は食品表示法上、表示義務が免除される対面販売であることなどが想定される。
引用:厚生労働省
飲食店で冷凍食品を製造販売できるようにするためには?
それでは飲食店で冷凍食品を製造販売する場合に必要な許可について解説していきます。
ここまでの項目で飲食店では冷凍食品の製造販売(テイクアウト)ができないことが分かったとも思います。
なので飲食店営業許可以外の許可取得が必要になってきます。
大きく2つのパターンがあるのでそれぞれ解説していきます。
飲食店で冷凍食品を製造する場合に必要な許可取得方法
- 冷凍食品製造業の許可を取得する
- そうざい製造業など製造業に冷凍用の設備を設けて許可を取得する
→【まとめ】食品衛生法改正後に菓子製造業の許可で冷凍品の販売は可能? | 肥前正宗 食品・グルメ情報サイト (hizenmasamune.com)
冷凍食品製造業の許可を取得する
まず一つ目の方法は冷凍食品製造業の許可を取得することです。
この場合は冷凍品であればどの品目も基本的には製造販売が可能です。
しかし、冷凍でないそうざいなどを卸す行為ができないので注意しておきましょう。
もし必要な設備については下の項目で紹介しています。
※この許可の取得の際飲食店の厨房で許可を申請しようとすると、保健所によっては作業の時間分け等を求めてくるところや、
別の場所を設けるように求めてくるところがあったりと様々です。
なので上のリンク先で確認した上で保健所に確認しておきましょう。
製造業の許可に冷凍設備を備える
次に2つ目の方法は各種製造業に冷凍設備を備えて許可を取得することです。
こっちの場合のメリットはそうざい製造業の許可で冷凍設備を追加した際に、そうざいの半製品や完成品の卸販売、ネット販売ができるところです。
なのでもしチルド品の餃子なども製造販売したいのであれば個人的にはこちらをおすすめしています。
ただ、この場合は各種取得した製造業の範囲の品目の冷凍品しか製造できないので注意しましょう。
→製造業に冷凍設備を設けて冷凍食品の製造を行いたい場合に必要となる設備について
例外(既製品の冷凍食品の販売・テイクアウトの場合は許可不要)
さいごに番外編として、もし他の会社から入荷した冷凍食品をそのまま右から左へ販売するだけであれば、
許可はそもそも必要では無くなるのでそこは注意しておきましょう。
この場合は、許可ではなく保健所に対して届出(報告のようなもの)を提出すれば問題が無いので、
すぐに届出を行い営業を始めて行きましょう。
さいごに
いかがでしたか?
今回は飲食店経営者が冷凍食品をテイクアウト用に製造する際に必要な許可について紹介しました。
食品衛生法が改正されてまだ日が浅いので、どの保健所も回答がイマイチの時があり保健所によってはかなり厳しく設備を観ていることろもあります。
今回紹介した設備基準は全国一律ではありますが、自治体によっては厚生労働省の定めた設備基準をより厳しく解釈している所もあるので、最終段階では保健所に一度確認をとることをおすすめしています。
本記事の最終まとめ
- 飲食店では冷凍食品の製造販売(テイクアウト)はできない
- 飲食店営業許可ではそもそも冷凍食品の製造販売が認められていない
- 冷凍食品を製造販売する場合は『冷凍食品製造業の許可取得』か『製造業に冷凍設備を追加して許可取得』のどちらかが必要
- 冷凍食品の単なる物販であれば届出で大丈夫
飲食店開業前に確認すべき注意点
冷凍食品に関するまとめ記事はこちら
参考記事
厚生労働省:食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について
厚生労働省:法改正解説のスライド
コメント