本記事のポイントまとめ
- 本質的な食品の状態を変化させない行為を「加工」になる
- 凍結しただけ、表面を炙っただけでも「加工」に分類される
- 今回紹介する工程以外は全て「製造」に該当する
- 加工に該当し無かったものは全て「製造」となる
はじめに
食品の製造や表示の作成において、自分が行っている行為が「製造」なのか「加工」なのか分からない方はいませんか?
特に食品の表示では「製造者」もしくは「加工者」の表示が必要ですが、どちらで表記すべきか判断が難しいかと思います。
今回はそういった悩みを抱えている方の手助けになるよう「製造」と「加工」の違いについて紹介します。
今回紹介する内容は消費者庁で紹介されているものを元にわかりやすく紹介します。
本記事をオススメをしたい方
- 製造と加工の違いを知りたい方
- 食品表示の「製造者」と「加工者」の表記の違いを知りたい方
- 食品表示の方法について知りたい方
解説
「製造」と「加工」の違いは消費者庁では『「加工」とは、新しい属性を付加する行為をいい、加工行為を行う前後で比較して、本質的な変更を施さない行為、が該当します』と定められています。
なのでこれを簡単に解説すると「食品を加工などをした後で、別の食品に変わらなければ加工行為にあたる」という事です。
※例:ハムをスライスしただけ(スライスの前後でハムの大きさが変わっただけで味の変化や別の食品になったわけではない)
上のように消費者庁で「加工」の定義が示されていますが、実際にはどんなものが加工になるのかは判断が難しいと思います。
そこで次の項目から紹介する行為が全て加工に該当するのでそちらを参考にしてみてください。
実際消費者庁でも次の項目から紹介する行為が「加工」に該当してそれ以外は全ては「製造」に該当すると紹介しています。
ちなみに加工に該当する行為は全てで13項目あります。
加工行為に該当するもの
- 切断
- 整形
- 選別
- 破砕
- 混合
- 盛り合わせ
- 小分け
- 加塩
- 骨取り
- 表面を炙る
- 冷凍
- 解凍
- 結着防止
それでは次の項目から加工行為を細かく解説していきます。
切断
これは加工食品を単に切断やスライスするだけの行為が該当します。
具体的な例としてはハムやベーコンをスライスしただけ等が該当します。
カットして味付けなどまでしてしまうと加工行為からは外れてくるので注意が必要です。
整形
これは既に完成した加工食品の形を整えたり大きさを変えたりする行為になります。
具体的にはハムやベーコンを紐などでくくり形を整えたり、まんじゅうやおはぎの形を整えたりする等です。
ここで注意が必要な例としては焼成前のクッキー生地を仕入れて整形するだけであれば加工ですがオーブンで焼く行為になると「製造」に該当してきます
選別
この選別は言葉ではわかりにくいですが、具体的にはいりこなど大きさの異なる煮干しをそれぞれ大きさごとに分別する行為のことです。
煮干しを買ったことがある人なら分かると思いますが、きれいに大きさごとに包装され販売されていますが、その大きさを統一する選別の作業は全て加工行為になります。
破砕
次に破砕ですが、これはすこし細かくて、粉状にまで粉砕せず粗く砕いたものなどは加工行為として認められています。
具体的な例としては「挽き割り大豆」などがこれに該当してきます。
混合
次に混合ですが、これは異なる種類の食材を一緒にしているだけの行為です。
たとえば、あられとピーナッツを混ぜただけの柿ピーなどは加工行為になります。
また、千切りキャベツやレタス、千切りにんじんをただあわせた野菜ミックスも加工行為に該当します。
盛り合わせ
この盛り合わせは先ほどの混合と少し似ていますが、定義としては「複数の異なる種類の生鮮食品を盛り合わせる行為」となります。
具体的にはスーパーなどにあるマグロやサーモン、たいなどの刺身の盛り合わせもこちらに該当してきます。
小分け
小分けに関しては定義として「加工食品を小分け包装する行為」となっています。
具体的にはバルクで仕入れた饅頭を小分け包装するような行為は全て製造ではなく加工に該当します。
加塩
加塩に関しては少し定義が複雑で「既に塩味のついた加工食品を加塩する行為」と定められています。
具体的には塩鮭に振り塩をして塩鯖を辛口にしたり、塩ワカメに塩を加える行為が該当してきます。
骨取り
骨取りは「原型のまま除骨のみ行う行為」が該当するとされています。
なので既に捌いてある魚を再度捌くことなく骨のみ抜き取る作業であれば加工行為に該当します。
具体的な例としては塩鯖の骨取りなどがこれに該当してきます。
表面を炙る
表面を炙る行為に関しては「戦線食品の表面だけを炙る行為」が該当すると定められています。
具体的にはカツオのたたきなどは加工行為に該当してきます。
なので逆に加工食品を炙る行為は「製造」に該当してきますので注意しておきましょう。
冷凍
この冷凍行為も少し定義が難しく「単に加工食品を冷凍したもの※冷凍食品等の製造行為に該当するものを除く」と定められています。
例外として「冷凍食品の製造行為に該当するもの」ほとんどの冷凍行為が冷凍食品としての製造に該当するので、加工行為に該当する冷凍はほとんど無いのかと思います。
しかし加工行為に該当する冷凍の具体的な例があるので一応紹介しておくと「凍り豆腐」や「寒天」などが該当してきます。
解凍
解凍はとても定義として簡単で「自然解凍等により、単に冷凍食品を冷蔵もしくは常温の状態まで解凍したものが該当してきます。
具体的な例としては冷凍魚介ミックスを解凍する行為等です。
結着防止
最後の結着ですが、これは「食品が固まらないように植物性油脂を塗布する行為」と定義されています。
あまりこの加工行為になじみがない人も多いかもしれませんが、
具体的には普段私たちがよく食べるレーズンも固まって固くならないように植物性の油脂が塗布されています。
こういった行為に対しては製造ではなく「加工」と定義されています。
まとめ
以上13項目が消費者庁で加工として定義されているものです。
逆にこの13項目以外の行為は全て「製造」に該当してきます。
なので食品表示においてご自身が行っている行為が「加工」に該当していたら『加工者』と表記し、
上記13項目以外の行為を行っていたら『製造者』と表記しておきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回の「製造」と「加工」の違いはしっかり定義を確認すればそこまで難しく無かったかと思います。
今回紹介した13項目が加工行為に該当するのでそれ以外は全て「製造」と判断されて大丈夫です。
もし食品表示の『製造者』と『加工者』の表記に迷った場合は是非今回の記事を参考にして表示を作成しましょう。
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