本記事のポイント
- 食肉製品の中の分類の一つ
- 特定加熱食肉製品にはローストビーフが該当
- 製造販売の許可取得などには資格などの厳しい基準をクリアする必要がある
はじめに
特定加熱食肉製品とはどんな食品が該当してくるか分からない方やローストビーフなどを製造販売したい方はいませんか?
本稿では『特定加熱食肉製品』にどのような食品が該当するのかや、実際に『特定加熱食肉製品』を製造販売する際に必要となる基準について解説します。
是非ご自身が『特定加熱食肉製品』を製造する上で必要となる基準をクリアできるかを確認してみて下さい。
本稿をオススメしたい方
- ローストビーフなどの『特定加熱食肉製品』を製造販売したい方
- 食肉製品製造業の許可取得を目指している方
- 『特定加熱食肉製品』の製造基準を知りたい方
解説
特定加熱食肉製品とはどんな食品が該当する?
ハムやソーセージなどの食肉製品には、食中毒を防ぐために様々な分類に分けられています。
食肉製品は大きく分けて主に以下の4種類になります。
- 乾燥食肉製品
- 非加熱食肉製品
- 特定加熱食肉製品
- 加熱食肉製品
以上の4種類になります。
そして今回紹介する特定加熱食肉製品の代表的な食品としては『ローストビーフ』が挙げられます。
ちなみにハムやソーセージは『加熱食肉製品』、ジャーキーは『乾燥食肉製品』、生ハムなどは『非加熱食肉製品』に分類されています。
特定加熱食肉製品を製造するには?
実際にローストビーフなどの『特定加熱食肉製品』を製造する場合に必要となる許可や基準はどのようなものがあるのかを解説します。
特定加熱食肉製品を製造するためには許可の取得などいくつかの法律で決められた基準を満たす必要があります。
その基準が主に以下の内容になります。
- 食肉製品製造業の許可取得
- 食品衛生管理者の資格取得
- 製造した製品の『成分規格』のクリア
- 製造する際の『製造基準』のクリア
- 製品の『保存基準』のクリア
以上5点が主な内容になります。
その中でも②と③、④のハードルがとても高いのでそちらをメインに解説していきます。
食品衛生管理者の資格とは?
『食肉製品製造業』の許可を取得するには『食品衛生管理者』の資格が必須となっています。
ローストビーフなどの食肉製品を製造しようと考えている方は、まずこの資格のハードルが高くて断念する方がほとんどだと思います。
この『食品衛生管理者』になれる資格は主に以下の免許を取得した人に限られます。
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 獣医師
- 大学などにおいて、医学、薬学などの課程を修了した人
- 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設での課程を修了した人
以上6種類の資格保持者にのみ限定されています。
この資格を持っている人がそもそも少ないのと、いたとしても本業の仕事をしている方が多くなかなか『食肉製品製造』に携わることが難しいのが現状です。
そのため、この資格要件で断念される方がほとんどとなります。
⑥の項目に記している「養成施設」があるにはあるのですが、受講料がかなり高額なのと開催エリアが限られているためとても費用が掛かります。
特定加熱食肉製品の『成分規格』とは?
ローストビーフなどの特定加熱食肉製品を製造した場合は、製造した商品に対して体に悪いものが入らないように法律で製品に対して成分に違反がないか基準が決められています。
『特定加熱食肉製品』の場合は、以下の項目が成分規格として基準が定められています。
- 亜硝酸根 0.07g/kg
- E.coli 100/g以下
- クロストリジウム属菌 1000/g以下
- 黄色ブドウ球菌 1000/g以下
- サルモネラ属菌 陰性
以上5項目が成分規格として定められています。
亜硝酸根を規定以上に使用せず衛生的に取り扱い、加熱を十分にできていればこの基準を逸脱しにくくなると思います。
実際に製造する場合は製品を一度検査機関に出して逸脱がないか見てもらうことをオススメします。
特定加熱食肉製品の『製造基準』とは?
特定加熱食肉製品などは製造する上でも様々な法律上の基準があるのでその製造基準をクリアする必要があります。
その製造基準とは簡単にまとめると主に以下の内容になります。
- 原料の肉はと殺後24時間以内に4℃以下に冷却したpH6.0以下の肉塊であること
- 製造に使用する冷凍原料肉は食肉の温度が10℃を超えないように解凍しなければならない
- 製造に使用する原料肉は肉の温度が10℃を超えてはならない
- 塩漬けを行う場合は、肉塊のままで、乾塩法又は塩水法により行うこと
- 調味料を使用する倍委は、食肉の表面にのみ塗布しなければならない
- 製品は肉塊のままで、その中心温度を以下の表の温度及び時間以上の殺菌効果がある方法で殺菌すること
- 殺菌する際に中心部の温度が35℃以上52℃未満となる時間を170分以内に抑える
- 加熱殺菌後の冷却は製品の中心部の温度が25℃以上55℃未満となる時間を200分以内に抑えなければならない
- 冷却に水を使用する場合は流水(食品製造用水)で行わなければならない
- 冷却後の製品の取り扱いは衛生的に行わなければならない
これらが特定加熱食肉製品の製造基準になります。
加熱殺菌の方法や冷却方法が厳しいのでこの基準をクリアするために専用の機械が必要になったりしてきます。
なのでローストビーフ等を製造販売する場合は是非この製造基準をクリアできるかを確認して、その上で営業予定施設の保健所に相談してみましょう。
さいごに
以上が『特定加熱食肉製品』についての解説になります。
実際にローストビーフなど『特定加熱食肉製品』を製造販売使用と検討している方は是非本稿を参考にしていただけたらと思います。
許可取得の具体的な流れ
オススメのラベルプリンター
参考資料
厚生労働省:食肉製品の規格基準について
厚生労働省:食品の規格基準について
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